翌朝5時、ブルネイでの微生物探査プロジェクトを検討する製品評価技術基盤機構(NITE)野中理事他一行は、テンブロン国立公園を訪問した。
NITEのブルネイ訪問は新聞でも報道された。
http://www.brunei-online.com/bb/wed/sep12h43.htm
http://www.brunei-online.com/bb/tue/sep11h17.htm
まだ辺り一面暗い中、発電機を使って電気をつけると、巨大な蛾が大きな音を立てながら飛来した。
日の出と共に一行は調査を開始した。
木々の間に朝霧が立ちこめる。天然の一次林が森の奥へ延々とつながっている。
途中のつり橋からジャングルを眺める一行。
違法伐採により最近減っているラタン材。東南アジアでも飛びぬけて豊かなブルネイは、自然の保存政策に一辺倒力を注いできたこともあり、すべてがそのままの状態で保存されている。
タンポイという果物。このままでは猿もにがくて食べないが、お湯で煮出すとりんごのように美味しくなるのだ。
葉の下でゆらゆらと何かが揺れていた。白黒の毒クモだ。
1226段の階段を上がるとキャノピーが見えてきた。
高さ約50メートルある鉄パイプで組まれたキャノピー。この頂点からは、テンブロン国立公園の原生林ジャングルが一望できる。
一行はキャノピーの上から、これから踏査に向かう方向を確認することにした。
一気に視界が開けると、その高さから足がすくんで動けなくなる一行。
野中理事が次に向かう方向を自らの目で確認した。
そう、今日も河の風がそよそよと吹く中で。